亡くなった方の銀行からの借入れが、「住宅ローン」以外の「事業性融資」や「アパートローン」等の場合で、生命保険が適用にならないときは、銀行に対する借金が残ることになります。
つまり、借金=マイナスの財産も相続の対象になることに注意が必要です。
そして、借金が残るケースへの対応としては、一般に、次の選択が考えられます。
1.この機会に完済してしまう
「借金を完済した」=「銀行の担保が当然に外れる」、という訳ではありません。
不動産の名義変更手続と併せて、銀行の担保を外す手続、すなわち「(根)抵当権抹消」の手続が必要になります。
2.相続人の誰かが引き継ぐ
借金を負担する特定の相続人を、相続人間の話し合いだけで決めることはできません。
負担者の決定には、銀行の同意が必要になります。
そして、借金を負担する相続人が決定しましたら、「(根)抵当権変更」の手続を経て、返済を続けていくことになります。
なお、引継いだ借金が結果的に払えない場合は、債務整理手続(自己破産等)に入ることになります。
3.相続放棄をする
俗に、「遺産放棄」という言葉が良く使われますが、実は正式名ではありません。
ここでいう「相続放棄」とは、家庭裁判所に申述書を提出して行う手続を指します。
つまり、「裁判所を通さないでした遺産の放棄」=「話し合いで借金を負担しないと決めたこと」は、厳密に言うと、銀行等の債権者との関係では、借金について、放棄したことにはなりませんので要注意です。
一方、家庭裁判所を利用し、正式に相続放棄をした方は、相続人から外れますので、プラスの財産も、マイナスの財産も全て放棄することになります。
例えば、プラスの財産より借金=マイナスの財産の方が多く、返済が不可能な場合は、「相続放棄」の手続を検討すると良いでしょう。